こんにちは、呉市の歯医者さんです。
これまで虫歯の記事を優先してお話してきましたが、ここで歯周病について、お話していこうと思います。
個人的には、歯周病は虫歯より恐いと考えています。
それと言うのも、虫歯はその歯だけの問題ですが、歯周病は、ほとんどの場合、その歯を中心に、隣の歯そしてその隣の歯へ……と、どんどん広がっていきます。
ですから、下の歯は全部あるんだけど、上の歯は全部無い…という事が,歯周病では実際に起こります。
更に、こんな恐い病気に関わらず、ほとんど自覚症状が無く進行してしまいます。気づけないんです。
ですから、気づいた時には………ほとんどの歯が、かなり厳しい状態になっている事も多い
そんな事にならないよう、予防と治療について、見ていきましょう。
この記事は、こんな人にお勧めです。
- 歯を磨くと出血してくる方
- 歯を磨くと、歯茎が痛い方
- 歯茎が腫れる方
- 痛いというより、違和感のような重い感じがする方
- 歯茎が下がってきて、歯の根っこが見えてきた方
- 歯が動いてきた方
- ご両親など、身近な人に入れ歯の方がいらっしゃる方
- 歯周病について知りたい方
【歯周病って、どんな病気?。】
今日は歯周病についてお話していきますね。歯周病って聞いた事ありますか?。
そうですね、テレビの CM とかで
歯磨き粉の CM 等で聞くかもしれませんね。歯磨き粉のGUM(ガム)とかが有名かな。
主な症状としては、以下のようなものがあります。
歯周病は、こんな全身状態のリスクにもなります
- 【糖尿病】 : 歯周病と糖尿病の、それぞれの病気は関連が強く、両方並行して治療していかないとお互いになかなか良くならないと言われています。
- 【早産】や【低体重児の出産】 : 妊婦が歯周病だと、これらのリスクが高くなると言われています。
- 【心筋梗塞】や【脳梗塞】 : これらを起こす危険性が高くなると言われています。
- 【誤嚥性肺炎】 : 歯周病と誤嚥性肺炎には、強い関連性があると言われています。
僕は、歯磨きしてたら、たまに血が出る位かな~、
でも、他は大丈夫ですよ。
僕は大丈夫ですね♪。
・・・いえ、お口の中を拝見させてもらいましたが、歯周病が少し始まっていると思います。
まだそんなに悪くはなっていないようで・・・
ええええ
僕、歯周病なの?
歯が抜けちゃうの??
いえ、まだ抜けるとかっていうレベルではないです。
これ以上悪化しないように、生活習慣や歯磨き習慣から、見直してみましょうね。
う~ん、生活習慣変えるとかより、治療をしてほしいな。虫歯を治すみたいに・・・。いい薬とか無いですか?。
そうですね、お気持ちは分かります。虫歯みたいに手早く治したいですよね。
ただ、詳しくは後述しますが、歯周病の治療は基本的には、
❶歯垢や歯石が少しでも付かないように歯磨きを頑張ること。※歯垢と歯石については、下で説明しています
❷それでも付いてしまった歯垢や歯石を歯医者さんで取り除く
❸歯磨きをしやすいように、歯周外科治療で環境を整える
…これらになります。
まとめると
❶歯磨きを頑張るのと、
❷それでも付いてしまった歯垢や歯石を、定期的に歯医者さんで取ること…
これがメインなんです。
何もせず、薬を塗ったり飲み薬だけで治る訳ではないですし、虫歯のように削って詰めたら治る訳でもありません。
そういう訳で、歯周病の治療の主役は、歯医者さんではなく、患者さん御自身つまり皆さん一人一人という事になります。
ですから歯周病に関しては、
「自分で治すぞ!」
という強い意志が大切になるんです。
【用語解説します】
- 歯垢(読み:シコウ)とは、バイ菌が作る住処です。バイ菌が歯にくっつき、歯磨きや唾液からバイ菌達を守る作用があります。
- 歯石(読み:シセキ)とは、歯垢が硬く固まったものです。もう歯磨きでは取れません。バイ菌達が集まってくる特徴があります。
では、虫歯の時と同じように、今回も歯周病の原因から見ていきましょう。
【歯周病って、どうしてなるの?】
歯周病にどうやってなっているのかを、歯周病菌達に聞いてみましょう。
ちなみに、歯周病の成り立ちは、虫歯の成り立ちと近い部分もありますので、まだ【虫歯を予防しよう】の記事をご覧でない方は、こちらも見てもらえると、参考になるかもしれません。
・・・仕方がない、歯周病については、私が話そう。あまり人と話すのは好きではないのだがな…
…ん?。虫歯の時のバイ菌と違うだって?。
そりゃ~そうだ、違うからな。
あんな陽気なヤツと一緒にしないで頂きたい。
【虫歯の原因菌の1つ:ミュータンス菌】は、外の空気が大好きな、陽気なヤツだからな。
オレたち歯周病菌は、外の空気に触れるのは好かん。暗いジメジメした暗~い所が落ち着くってもんよ。
暗~い所で、バレないように、気の合うヤツらと楽しく暴れまわって周りを壊す…これこそが芸術だ。
仕事が疲れた時のコーラは格別だな、プハーーッ
我らが密かに大暴れする歯周病だが、これを起こす為には、【材料】と【環境】が必要だ。
必要な材料は虫歯と同じく【糖質(甘い物など)】。かける君の飲んだコーラは糖質の宝庫だ。
甘い物をダラダラ飲んでくれたら、我らにとったら、なお良しだな。
我々バイ菌が、【糖質】を使って【歯垢(住処)】を作っている事は、ミュータンス菌(虫歯の原因菌の1つ)のヤツが話した通りだ。
虫歯にしろ歯周病にしろ、芸術を邪魔しようとする【歯磨き】や【唾液】から身を守らないとバイ菌の仕事は始まらん。
その為にも、まずは【歯垢(住処)】を作って身を守る事が大切なのだ。覚えておけ。
仕事終わりのビールは格別だな。次は梅酒を飲もう♪。
おっと、かける君の飲んだビール・梅酒は糖質が高い、ご馳走さま♪。
話が逸れたな。
【歯垢(住処)】さえ作ってしまえば、ある程度は安心だ。ヘタクソな歯磨き位なら、歯周病を邪魔される事はない。
その後、
栄養を一杯蓄えてある【歯垢(住処)】の中で、我々バイ菌は、どんどん数を増やすぞ。
ミュータンス菌のヤツも言っていたと思うが、1匹のバイ菌では出来る事は少ないが、皆の力を合わせれば…………というやつだ。フッフッフ…
ただ、まだ油断はできん。上手に歯磨きされたら【歯垢(住処)】ごと、やられかねんのでな。
しばし待て、いい方法がある。
実は【歯垢(住処)】は、歯磨き等で除去されなければ、徐々に強化され、そのうち…………【歯石(強化された住処)】に住処をパワーアップできるのだ。
こうなれば、例え歯磨きが上手だろうが、もう邪魔をされる事はない。
まぁ正確に言えば、歯医者に行かれると、強固な【歯石】も除去されてしまうが………まぁ、お前らそんなに歯医者には行かんだろ(笑)。
ういーー〜っ今日も飲んだな~zzz
話が逸れたな。
遂に歯垢・歯石の中は歯周病菌で一杯だ。
よーーし、大暴れするぞ!!。
そうはさせない。
かけるさんの身体は、オレたちが守る!!。
出たな、かける君の身体を守る免疫細胞どもめ。
お前らにかまっている暇はないんだ。
邪魔を…するなーーー!!。
Zzz…………むにゃむにゃ
はー、はー……
やっと歯周病菌達の数を減らす事が出来た。
ふん、なかなかやるな、免疫細胞。
ただ、周りを見てみるんだな。
げっ!!。
歯周病菌の毒素による攻撃もあるけど、
歯周病菌と激闘を繰り広げたせいで、周りの歯茎や骨などがボロボロじゃないか。
そういうわけだ。
これがお前達の知りたかった【歯周病】の実態だ。
暴れ回る我々バイ菌様達と、身体を守ろうとするヤツらとの闘いの結果、周りの環境がその闘いに耐えきれず、歯を支えてる骨は無くなり歯は動き、歯茎は下がって歯の根っこが見えてくる。
はっはっは…
お前が抵抗しなければ、ここまではならなかったものの。
今後は抵抗しない事だな。
そういう訳にはいかない。
お前達を放っておけば、血管から侵入され、全身にバイ菌が巡り、菌血症や敗血症を起こす。
そうなっては命も危ないんだ。
ちっ………………
ただ、われわれ歯周病菌は一時的に減っても、歯石が残っている以上は、すぐに数を増やす。
そして大量のバイ菌軍で、またお前らを襲うだけよ。
お前ら免疫細胞達が、いかに頑張ろうがムダなんだよーー!!。
かける君、頼む。
君自身で歯周病菌が増えないよう頑張ってくれ。
かけるの命を守るためにも、こいつら歯周病菌を放ってはおけない。
ただ、こいつらを叩くと、どうしても、周りの歯茎や骨が壊れてしまう。そうすると、いずれは、かけるも入れ歯になってしまうだろう。
そうなってしまっては遅いんだ。
こいつら歯周病菌を増やさないコツは必ずあるはずなんだ。
それを見つけるんだ、かける!!。
【歯周病によって、どう変化するのかを、見てみよう】
歯周病の気づきやすい症状として、歯茎が痩せて、歯の根っこが見えてくる事があげられますが、
実際には見た目以上に、歯茎の下の骨(歯槽骨と言います)は破壊されています。
まず下の絵を見て下さい。
歯周病の進行と、それに伴う見た目の変化とレントゲンの説明をしてみました。
順を追って見てみましょう。
※順を追って説明します。
まず、硬い歯という物は、硬い骨に埋まっています。だから、硬い骨に支えられて、そんなに動かないんですね。
実際、上の図の①の状態(健康な状態)だと、歯のクビの辺りまで骨に埋まっています。
②の状態(軽度~中等度の歯周病)だと、歯の根っこは半分位しか骨に埋まっていません。
③の状態(重度の歯周病)だと、歯の根っこは、ほとんど骨に埋まっていません。
歯を支えてくれる骨が、ほとんど無いので、歯は支えがないので、グラグラ動きます。そして、そのうち…自然と抜ける訳です。
【歯周病にならないようにするには、どうしたらいいの?】
大変だ!!。
先生、歯周病を治さなきゃ。
何したらいい?。
落ち着いて、かけるさん。
歯周病を防ぐには、歯周病の邪魔をしないといけません。
歯周病菌が歯周病を起こすのに必要な物は、さきほど歯周病菌が話していましたよね。
バイ菌が歯周病を起こすのに必要な物
- 歯周病菌の数を増やす
- 糖質(甘い物など)
- 歯石・歯垢(住処)(近い意味でバイオフィルムと呼ばれる事も)
- 歯周病を起こしやすい環境
虫歯の時と同じで、これらを邪魔する事が出来るのは…歯磨きですよね。
でも、虫歯の時と同じで、
歯周病になる人も、皆さん歯磨きは頑張っているんです。
でも歯周病になったり、歯周病が止まらなかったりする…
これは何故かと言うと、虫歯と同じように、歯磨きとは難しいものだからです。
特に歯周病が進んでくると、歯磨きの難易度が跳ね上がります。
もし皆さんが歯磨きを頑張っているにも関わらず、歯周病になるのだとしたら、その原因は
【歯磨きの押さえるべきポイントが少し足りていない】のと、
【歯周病になりにくい環境作りが少し足りない】
のだと思います。
それぞれ説明していきますね。
【歯磨きの、押さえるべきポイントは?】
まずは、歯磨きの、押さえるべきポイントについて説明します。
歯周病予防の歯磨きで、しっかり磨かないといけない場所…
…つまり、歯周病の原因になりやすい、磨き残しが起きやすい部位は、
歯と歯茎の境目です。
これは歯周ポケットとも呼びます。テレビのCMで言っているのを聞いた事がある方もおられるかもしれません。これは、何なのか。
まずは皆さん、鏡でご自身の歯と歯茎を見てみてください。
鏡で見ると、歯と歯茎はピッタリひっ付いているように見えると思います。
…ですが、これを横から見たとすると、下の図のようになっています。
難しいのですが、分かりますでしょうか?。
歯の縁ぎりぎりでは、
周りの歯茎と歯の間って、凹んでるんです。
この凹みの事を歯周ポケットと言うのですが、
その凹みの部分に、磨き残しが溜まるんです。
ちなみにこの凹み、健康な歯茎の人でも1~2㎜あります。意外と深さがあると思いませんか?。
後で後述しますが、歯周病が進んでくると、この歯周ポケットが4㎜とか、悪いと10㎜等になります。
この、歯と歯茎の境目の凹みに残った汚れが、歯周病を引き起こす原因となっていくのです。
ですから、歯周病を予防する為の歯磨きのポイントは、
この歯周ポケットの中に汚れを溜めない、
溜まっていたら掻き出すという事なんです。
ここまで歯周病の予防の話についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか?。
今回も長くなってしまいましたので、全体を3回程度に分けてご説明させていただきます。
次回は、歯周病予防の、実際の歯磨きのやり方から、ご説明していこうと思います。
【まとめ】
- 歯周病の主な症状について、ご説明しました。
- 歯周病の治療は基本的には、❶歯磨きを頑張る事と、❷付いてしまった歯垢や歯石を定期的に歯医者さんで取ること…という事をご説明しました。
- 歯周病の治療の主役は、歯医者さんではなく、患者さん御自身つまり皆さん一人一人だという事を、ご説明しました。
- 歯周病を治すには「自分で治すぞ!」という強い意志が大切だという事を、ご説明しました。
- 歯周病の成り立ちについて、歯周病菌に説明してもらいました。
- 歯周病で歯茎が痩せていきますが、見た目以上に、歯茎の下の骨(歯槽骨と言います)は破壊されている事を、ご説明しました。
- 歯周病予防の為の歯磨きには、歯と歯茎の境い目にある凹み(歯周ポケット)を意識する必要がある事をご説明しました。
続きは【歯周病を予防しよう ②】を、ご覧下さい。
※現在、執筆中です。
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今後とも西田歯科医院による、【呉市の歯医者さん】を宜しくお願い致します。
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