こんにちは、呉市の歯医者さんです。
この記事は、前回(虫歯を予防しよう ①)の続きです。こちらがまだの方は↑から、どうぞ。
前回は
- バイ菌によって、虫歯になっていく流れのお話をしました。
- 虫歯が出来るのは、【歯磨きの押さえるべきポイントが少し足りていない】のと、【虫歯になりにくい環境作りが少し足りない】点を、お話しました。
- 虫歯になりやすい場所についてお話しました。
今回は、
- 歯磨きで気をつけて欲しいポイント
- 虫歯になりにくい環境作りの為に何をするか
- フッ素の働き・使い方についてのお話
- 歯間清掃器具を使う時の注意点
…について、お話します。
この記事は、このような人にお勧めです。
- テレビやスマホを観ながら歯磨きしていて、虫歯や歯周病に困っている人
- 小さなお子さんのご両親の方
- 虫歯に困っている人
- 歯磨き粉や、洗口液について知りたい方
- フロスや歯間ブラシについて知りたい方
- 歯医者さんにあまり行きたくない人
【虫歯になりやすい部分をしっかり磨く為の、歯磨きのポイントとは】

続きを話します…が、まずはおさらい。
磨き残しが多い虫歯になりやすい部分は、以下の場所でした。





これらの場所を意識して磨く事が大切ですが、気をつけると良いと私達が考える歯磨きのポイントを、お話します。



本来、歯磨きの正しいやり方は、人それぞれ違いますので、医院に来ていただいて、患者さんにあったブラッシング方法を探していくのですが、
今回は、その方法の中のいくつかをお話します。
ただ、先ほどお話した通り、全ての人に当てはまる訳ではありませんので、注意して下さい。









上述のポイント①〜⑧それぞれについて解説していきます。
①の歯ブラシの毛の形状については、毛並みが凸凹している商品もありますが、凹凸の度合が全ての歯の凹凸とマッチしている訳ではないので、良いとは言えません。
バランスの良い普通の毛並みの歯ブラシを使いましょう。
②の毛の硬さは、柔らかすぎると歯垢は取れませんし、硬いと歯や歯茎を傷めます。
また、硬いと細かい凹みの所まで毛先が届いてくれません。
③のように歯は1〜2本づつ磨くようにしましょう。
4~5本など一気に数本同時に磨くと、細かい凹凸は無視して直線的に磨いてしまいますから、磨き残しを起こしてしまいます。
④が、私が考える、
凹凸のある磨き残しを起こしやすい部位を磨く時のポイントです。
⑤は参考にしてみて下さい。
⑥のフロスと歯間ブラシの使用については、これらの歯間清掃器具を併用する事は、良い方法です。
厚労省の調査結果によると、
このような歯磨き補助器具を使用している人の割合も、年々徐々に増えているそうですよ。
ただし、不適切な使用は歯や歯茎を痛めますので注意が必要です。
特に歯間ブラシは入らない隙間に無理して入れないようにしましょう。
⑦や⑧は大切です。普段の歯磨きがあっているのかチェックしましょう。
染め出しは、西田歯科医院で行なっていますので、ご利用下さい。







歯磨きのポイントを文字や絵だけで伝えるのは難しいので、どこまで伝わっているか分かりませんが、参考にしてみてくださいね。
今後、少しでも分かりやすくする為に、動画を作成予定です。お待ちください。
【虫歯になりにくい環境づくりって、何をするの?。】



いかがだったでしょうか?。普段何気なくやっている歯磨きですが、意外と奥が深い事が分かっていただけると幸いです。
この歯磨きが上手になりますと、前述の【バイ菌が虫歯を作るのに必要な物】であげた物の内の多くを、邪魔することが出来ますので、ずいぶん虫歯になりにくくなると思います。
それでは最後です。
【バイ菌が虫歯を作るのに必要な物】の一覧の中の1つ、【虫歯を作りやすい環境】・・・これを【虫歯になりにくい環境】に、変えていきましょう。



虫歯になりにくい環境に変える為のポイントを、いくつか挙げてみましたので、ご覧ください。
【フッ素の働きについて、知りましょう】



それでは①番目のフッ素について説明します。
フッ素という言葉を聞いた事があるでしょうか?。
フッ素は自然界にあるもので、私たちの食べる魚介類や、お茶や味噌汁等の食事にも多く含まれています。これらは食べる事で体の中にも存在しています。
虫歯予防の為に、歯磨き粉にもフッ素は多く使われています。
当院おすすめの歯磨き粉につきましては、改めてご紹介しますね。





このフッ素が、虫歯を防ぐのに効果的だと言われていて、その効果は大きく分けて3つあると言われています。
では、どんな効果があるのか見てみましょう。





まず1番目の 耐酸性の向上作用 について説明します。
歯の表面を強くして虫歯になりにくくできるんです。



ん?、ワシ達が【酸】を作って、しばらく経つのに、歯が壊れるの遅くねぇ?・・・・



そう、フッ素が歯に触れると、それまで歯が着ていたハイドロキシアパタイトという鎧が、フルオロアパタイトという、かなり強い鎧に変化するんです。
細かい話をすると、それまでのハイドロキシアパタイトという鎧は、酸に弱い性質(欠点)があったんですね。
それが、フッ素が加わり出来たフルオロアパタイトという鎧は、酸に対しての弱さが改善した、かなり強い鎧なんです。





では2番目の、再石灰化の促進作用について説明します。
虫歯になり傷ついた歯を治していく修復作業を、速くする事ができるんです。



ん?、せっかく歯を【酸】でスカスカにしてやってたのに・・・・だいぶ治ってねぇ?。



そう、フッ素が唾液(よだれ)に混ざると、体の持つ、ある作用を強く出来るんです。
その作用とは、壊れた歯を治す事。
ここで、細かな話をしておきます。面倒な方は次の衛生士さんの会話まで、飛ばしてね。
もともと体には虫歯を治す働きがあるんです。
虫歯の発生から治ってゆくまでの経過を見ていくと・・・
①バイ菌が作った酸によって、歯からリン酸やカルシウムという成分が溶けちゃうんです。
溶けた成分は唾液(よだれ)の中に混ざっていく・・・
この悪い出来事を脱灰と言います。
②これによって歯はスカスカになってしまって、
➂力が加わった瞬間に、ぼろっと穴があくんです。これが虫歯。
④このバイ菌たちの攻撃に対して体の修復作業が始まります。
歯から溶けだして、唾液(よだれ)に混ざってしまっていた成分(リン酸やカルシウム)の一部が、唾液(よだれ)から歯の中へと戻って行くんです。
この良い出来事を再石灰化と呼びます。
⑤ただ、そのスピードは、ゆっくりなんです。
なので通常は、歯を体が治すスピードより、バイ菌が歯を壊すスピードの方が速いので、どんどん虫歯が進んでいく・・・
⑥ただ、ここにフッ素が唾液(よだれ)に混ざると、この再石灰化のスピードを速く出来るんです。
⑦バイ菌が歯を壊すスピードより、体が歯を治すスピードの方が速くなれば、徐々に歯が治っていく・・・
これが、初期の虫歯だと自然回復できる理由なんですね。
※注意 歯に穴があいてしまうと、完全に自然回復することは不可能です。







では3番目の、酸の産生(脱灰)の抑制作用について説明します。
虫歯の菌が虫歯を作るのを、邪魔できるんです。



ん?、お前ら(たくさんいるバイ菌達のこと)、仕事サボってね?。全然【酸】が出来てないぞ!。



そう、
たくさんに増えたバイ菌達は、
歯垢の中で
【糖質(ショ糖)】を【酸】に変える作業をする事で、歯を破壊してるんだけど、
お口の中にフッ素があると、
バイ菌が【酸】を作るスピードを遅らせる事ができるんです。







フッ素の作用、いかがでしたでしょうか?。
ちょっと難しい説明だったので解かりづらかったんではないでしょうか。
話をまとめると、
バイ菌が歯を破壊している一方で、
体がこれに対抗して、歯を治してる。
でも、バイ菌が歯を壊す速さに、押されている現状があるんですね。
フッ素の働きというのは、
そんな体とバイ菌の闘いに対して、
体の助太刀をしている・・・という事です。
歯は・・・大事にしましょうね。
【フッ素を取り入れよう】
では実際に普段の生活にフッ素を取り入れてみましょう。
具体的な方法は、以下の3つです。
ただ、過ぎたるは害を及ぼす可能性がありますので、用法用量は必ず守ってお使いください。
- フッ素入り歯磨き粉を使う。
- フッ素入りの液体で、うがいする。
- 歯医者さんで、フッ素を塗る。
① フッ素入り歯磨き粉



薬局でも売っていますが、こちらを使う場合はフッ素濃度を確認する必要があります。
フッ素濃度は高いほど効果が上がりますが、年齢によって濃度と量に上限があります。
特にお子さんは年齢によって濃度と量が変わりますので、注意して下さい。
※濃度については歯磨き粉のパッケージに記載されています。分からなければ薬局の人に必ず聞きましょう。
(厚生労働省発表)



世界的な調査では、虫歯の予防効果は30~40%。
成人~高齢者の歯の根っこの虫歯予防効果は67%との報告があります。



やり方は、歯ブラシは水に濡らさないで、上記の量の歯みがき粉をとり、歯を磨きます。飲み込まず、「ぺっ」と吐き出します。
歯磨き後のうがいは、少量(10~15㎖)で1回行います。
その後30分、飲食を控えてください。



幼児が1日3回、フッ素入り歯磨き粉を適正に使った場合に、お口に残るフッ化物の量は3~5歳児童の調査で、0.18mgなので有害な影響はないと厚生労働省は発表しております。
毎回誤って飲み込んでいないか、量が多すぎないか、ご両親がチェックしてくださいね。
②フッ素入り洗口液



まず洗口法は永久歯の虫歯予防を目的に行います。
日本でも、ぶくぶくうがいが出来るようになってから始めます。
行う場合は、大人の歯が生え始めてから始めましょう。



こちらも、 誤って飲み込んでいないか、量が多すぎないか、ご両親がチェックしてくださいね。
➂歯医者さんでフッ素を塗る(フッ化物歯面塗布法といいます)。
【歯間清掃器具を試してみよう】



う~~ん、【虫歯と予防の話】は全2話で行う予定でしたが・・・・ちょっと延長しますね、すみません。



歯間清掃器具というのは、フロスと歯間ブラシの事ですね。
使い分けについては、歯と歯の間の隙間が大きな場合(大きな食べ物が挟まる等)は、歯間ブラシ。
歯間ブラシが通らない等、隙間が小さい場合に使うのがフロスです。
これらの目的は、歯ブラシだけでは取り切れない歯垢(汚れ)を取る為に、補助として使う物です。
それというのも、歯ブラシだけで歯磨きした場合に取れる歯垢(汚れ)の割合は、全体のうちの約6割というのです。
それを、これらの歯間清掃器具を併用することで、とれる歯垢(汚れ)の割合が、全体の・・・8割になるんです。
・・・10割じゃないんだ・・って思いますよね(笑)。
どんなにやっても10割は難しいです。それを少しでも10割に近づける為に、私達がいます。
でも、6割よりは8割の方が断然いいです。
ちなみにですが、歯間清掃器具を使っている人の割合は、厚労省の発表によると、30.6%だそうです。





では、フロスから説明しましょう。
フロスは昔で言うと、糸ようじ。
大きく分けると、
❶持つところ(ホルダー)付きのタイプと
❷糸だけで、指に巻いて使うタイプ
が、あります。
これは使いやすい方を選んでいいと思います。
また、糸にワックスが付いてるタイプと、付いてないタイプがあります。
❶ワックスが付いてるタイプは、糸を歯の間に通しやすいです。
❷ワックスが無いタイプは、汚れを取りやすいです。
こちらも、お好みで使い分けてみてください。
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※ちなみに、ワックスが無いタイプは、色々な呼び方があり
・ノーワックス
・ノンワックス
・アンワックス
等と書いてあったりします(統一してほしい所です)。





フロスを使うときの注意点は、
❶糸で歯と歯の間を通す時に、勢い余って歯茎を傷めないようしましょう。
❷糸で歯垢(汚れ)を落とす時は、糸を歯の側面に沿わせながら上下に動かします。
❸糸を上に動かす時に、歯と歯の間で、糸が抜けなくなった時は、無理に上から引き抜こうとせず、糸を横から引き抜くようにしましょう。
❹糸を下に動かす時は、歯茎の、ほんの少しだけ下まで動かしましょう。
これは、細かな話をすると、歯周ポケットまで綺麗にしたいからなのですが、歯周ポケットについては、また次の機会に話しますね。





次は、歯間ブラシについて説明しますね。
まずはサイズです。SとかMとかあります。
これは、ブラシの太さです。つまりご自身の、歯と歯の間の隙間の大きさに合わせたサイズを選ぶわけです。
・・と言っても、自分の歯の隙間のサイズなんて分からないですよね。歯科医院で聞いて頂ければ、だいたいの目安をお伝えしますね。
ただ、ここで注意点ですが、歯の隙間の大きさは、同じ人でも、その歯によって違います。
何が言いたいかというと、歯科医院でサイズを選んでもらっても、それが全ての歯に適している訳ではないんです。
ですから理想は、色々なサイズを買って使い分ける事です・・・なかなか難しい事ですが。
なので、全ての歯に歯間ブラシを通そうとは思わないほうが良いかもしれません。
ちなみに歯間ブラシが、
❶最適なサイズより細いと、汚れが取れにくく、
❷最適なサイズより太いと、最悪、歯茎を傷めます。
私自身いろいろ使ってみましたが、歯間清掃器具を使う場合は、誤った使い方をすると、かえって歯茎を傷めますので、
乱雑に扱わず、ゆっくり丁寧に使う事を心がけましょう。
そうすれば、非常に良い効果が出ると思います。
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※ちなみにサイズにSSとかSSSとかがありますが、
SSは、Sより1つ細いもの
SSSは、SSより更に1つ細いものです。





ちなみに、持つところ(ホルダー)付きのフロスの一部と、
ほぼ全ての歯間ブラシは、洗って繰り返し使えます。
しっかり洗った後は、しっかり乾燥させる事と、
痛んできたら早めの交換をしましょう。
まとめ
- 虫歯になりやすい部分を、しっかり磨く為の、歯磨きのポイントについて、ご説明しました。
- 普段の歯磨きが、しっかり出来ているかのチェックは大切ですので、ご自身か歯医者さんでチェックしましょう。
- 虫歯になりにくい環境づくりのいくつかをご紹介しました。可能なところから取り入れてみられると、いいかと思います。
- フッ素の働きについてご説明しました。かなり細かい話ですので、分かり辛かったかもしれませんね。
- フッ素を実際に取り入れる方法についてご説明しました。一番大切なことは用法・用量を守ることです。これらについては厚生労働省の発表を参考にしております。
- 歯間清掃器具についての説明と注意点をご説明しました。誤った使い方で歯茎を傷めないよう気をつけましょうね。



いかがだったでしょうか?。途中でお話したとおり、私が想定していた以上に記事が長くなりましたので、もう一度、ここで記事を切ります。



次回は、【虫歯を予防しよう ➂(終)】になりますので、またお読み頂けると幸いです。



今後とも、西田歯科医院による【呉市の歯医者さん】を、よろしくお願い致します。
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また見に来て下さいね。。


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